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【コラム】ショートフィルムってどんな映画なの?カメラ女子がビギナー向けに解説!!

2017年4月29日

このコラムは映画祭ボランティアライターの協力で制作されました。

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意外と知られていないショートフィルムの世界をQ&A形式でご紹介します!

映画ファンは勿論、普段映画をあまり見ないという方でも気軽に読んでみてください。

素敵な作品に出会えるはず!

 

[1] ショートフィルムって何?

ショートフィルム(短編映画)の定義や規定は特に決まっていません。各地の映画祭が採用している規定・基準による事が多く、35分以内の映像作品とされている場合が殆どです。ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)では、25分以内がオフィシャルコンペティションの応募規定となっています。

SSFF & ASIAでは、『ショートフィルムはさまざまなライフスタイルにフィットする、エンタテイメントコンテンツ。大スクリーンで楽しむのは、もちろんのこと、PC、スマートフォン、タブレットなど場所や時間を選ばず楽しむことが出来る。』と紹介しています(http://www.shortshorts.org/watch/ja/index.phpを参照)。クリエイティブな映像が製作され、様々なシーンで私達を魅了する現代では、″短編映画″という面だけでなく″ショートフィルム″という大きい枠組みで考えるのがマッチするのではないしょうか!

 

[2] どんな作品があるの?

作品のジャンルは、長編映画同様に様々です。ここでは代表的な作品をご紹介します!

ショートフィルムは本編映画(長編映画)の前座役のような形で上映される事もあります。

紹介する作品の中でも、『ああ、こんなのあった!!』と思い出せるかも?!

 

☆ショートフィルムの著名作(日本)

  • スタジオジブリの短編映画アニメ『ギブリーズ シリーズ』(2000年、2002年、25分)

『猫の恩返し』公開時に同時上映された短編アニメ。ジブリの作品がテレビ放送される時によく見る方も多いのではないしょうか?サラリーマンの野中君をはじめ、ゆるキャラ達のコミカルでほんわかするストーリーは、一度見たら忘れられません。

参照ウェブページ
http://www.ghibli.jp/works/
・ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AE%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA)

 

  • 『巨神兵 東京に現わる』(庵野秀明監督、スタジオジブリ、特撮研究所製作、2012年、9分)

2012年に開催された東京都現代美術館での展示で特別上映された作品。

『風の谷のナウシカ』に登場する巨神兵のスピンオフ作品とされています。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の公開時に劇場版が同時上映。またテレビ放送の時に見たという人も多かったのではないしょうか?

参照ウェブページ
http://www.ntv.co.jp/tokusatsu/index.html
・ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%A8%E7%A5%9E%E5%85%B5%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%81%AB%E7%8F%BE%E3%82%8F%E3%82%8B)

 

☆短編映画の著名作(海外)

  • ウォルト・ディズニー、ピクサーの短編映画アニメ(1920年代~現在まで)

いわゆるディズニー映画の多くはショートフィルム・アニメばかりってご存知でしたか?ウォルト・ディズニーは短編アニメを出発点として、ミッキーをはじめディズニーの主要なキャラクター達を短編アニメシリーズに登場させました。大ヒット映画『アナと雪の女王』(2013)のスピンオフ『エルサのサプライズ』等、ディズニーの名作短編映画をまとめて収録したDVDも発売されているので、ディズニーファンは勿論映画ファンは要チェックです!

参照ウェブページ
http://www.disney.co.jp/studio/news/20150701_02.html
・ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%82%BA%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%81%AE%E7%9F%AD%E7%B7%A8%E6%98%A0%E7%94%BB)
  • 『アンダルシアの犬』(ルイス・ブニュエル、サルバドール・ダリ監督、21分、1928年)

溶けた時計の絵や長いチョビ髭でお馴染みのサルバドール・ダリは映像作品にも熱を入れていました。ショッキングなシーンばかりですが、映像技術を使ってアートを表現した至極の作品。”見るとはどういうことか?”という哲学的な問いを考えさせられます。

参照文献:佐藤忠男『世界映画史[上・下]』第三文明社、1996

 

☆SSFF & ASIAで上映された著名作

  • 『The Dam Keeper(邦題:ダム・キーパー)』(Robert Kondo & Dice Tsutsumi / アメリカ / 18:05 / Animation / 2013年)

堤大介、ロバート・コンドウ共同監督によるオリジナル短編アニメーション映画です。『トイ・ストーリー3』や『モンスターズ・ユニバーシティ』のアートディレクターをつとめたふたりが初めてメガホンをとった本作は、2014年ベルリン国際映画祭で公式上映され、世界中の国際映画祭で20以上もの賞を受賞し、2015年米国アカデミー賞短編アニメーション部門のノミネート作品です。

(関連ウェブページ)
http://www.shortshorts.org/2014/program/post_99.html
https://thedamkeeper.jimdo.com/

 

  • 『Oh Lucy!』(平柳敦子/21分/2014)

SSFF & ASIA 2012でグランプリを受賞(作品名:『もう一回』)した平柳敦子監督の『Oh Lucy!』は、桃井かおりさんが主演をつとめ、2014年のカンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門で日本人初となる2位入賞を果たし、2015年のサンダンス映画祭短編部門にて審査員賞を受賞。その後も世界各国の映画祭でノミネートされ長編化も決定しています。主演に寺島しのぶ、共演に南果歩、忽那汐里、役所広司という国際的に活躍する豪華な面々に、ハリウッドからなどで知られるジョシュ・ハートネット(『ブラックホーク・ダウン』)が名を連ねています。

(関連ウェブページ)
http://www.shortshorts.org/lounge/infocus/post_57.html
http://ohlucythemovie.com/

 

 

[3] ショートフィルムは劇場で見れるの?

ショートフィルムは長編映画と同時公開される場合が殆ど。でも、ショートフィルムだけを上映している映画館はちゃんとありますよ!

 

横浜・みなとみらいにある短編映画専門の映画館。短編上映の常設映画館が皆無に等しい中、将来の映画界を担う新しい才能の発掘手段としての出発点として位置することを目的としています。米国アカデミー賞公認短編映画祭「ショートショートフィルムフェスティバル&アジア」で上映されたコンテンツも上映。

 

  • 三鷹の森ジブリ美術館 館内 映像展示室「土星座」

スタジオジブリのオリジナル短編映画アニメから、スタジオジブリがおすすめする短編作品が上映されています。

 

  • 下北沢トリウッド

短編アニメを主に上映中の映画館です。

 

 

 

[4] ショートフィルムはいつから作られるようになったの?

ショートフィルムは映画の誕生に大きく関わっています!!

 

映画創成期(1890~1920)のショートフィルム

1891年、発明王トーマス・エジソンの研究チームが覗き箱式のキネトスコープ(映写機)を発表しました。また1895年、フランスの写真機器工場の経営者であるリュミエール兄弟が広い会場で上映出来るシネマトグラフを発表しています。つまり、映画は発明だったのですね!

キネトスコープ
画像引用元(http://www.eduhacker.net/libraries/5-reasons-libraries-fail-written-1864.html/attachment/kinetoscope)

 

シネマトグラフ映写機
画像引用元(http://www.tamabi.ac.jp/mc/mc1/orient/cinema/photo3.html)

 

人類史上初めて公開された映画が、リュミエール兄弟が撮影した工場での動画と言われています。それは、彼らが経営する工場から従業員が出くる様子を捉えたもので、時間はたったの1分間でした。それでも人々は、身近なものや風景が動いている映像を見るだけで大喜びしていたそうです。また、ストーリーや撮影技術も無いので、単に記録した映像を映画と呼んでいました。映画の最初はドキュメンタリーである、という言説もこの点から由来しています。

このように、映画技術が生まれたばかりの頃の映像は、そこまで長い時間のものは作れませんでした。つまり、ショートフィルムこそ映画の原点だったと言っても、過言ではないのです!

 

  • 映画創成期の名作ショートフィルム

『月世界旅行』(ジョルジュ・メリエス、1902、16分)

サイレント映画(無声映画)の代表的な作品として挙げられます。映像技術が進歩し、

ストーリーや感情表現、映像トリック等が取り入れられた映画らしい映画に成長しているのが分かります。一度は観た事のある人も沢山いるはず!

 

やがて1930年代以降から、長編映画が映画産業の主流となり、ショートフィルムはニュース映画、教育映画、記録映画として扱われるようになります。

 

参照文献、ウェブページ
・佐藤忠男『世界映画史[上・下]』第三文明社、1996
・ウィキペディア(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%BC%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC%E6%98%A0%E7%94%BB)(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9C%88%E4%B8%96%E7%95%8C%E6%97%85%E8%A1%8C_(%E6%98%A0%E7%94%BB)

 

 

[5] ショートフィルムはどうして無くならないの?

 

映画・映像の長い歴史の中で、ショートフィルムは映画・映像業界では重宝され続ける作品ツールの一つです。数多の若き映画監督のデビューのキッカケとなり、またはインディペンデント映画(インディー映画、自主制作映画)のコンペや様々な映画祭で無くてはならない存在なのです。

また、短編映画を作る事が映画キャリアの一歩だという考え方は広く浸透していて、世界各国の映画祭事業の一環として、ショートフィルムの製作が行われています。

 

 

[6] ショートフィルムならではの魅力って何?

 2002年に、7人の映画監督達によるショートフィルム・プロジェクト『Jam Films』が話題を呼びました。北村龍平・篠原哲雄・飯田譲治・望月六郎・堤幸彦・行定勲・岩井俊二らがそれぞれショートフィルムを製作。単なるオムニバスではなく、エンターテインメント性に富んだショートフィルム・コンピレーション作品となっています。

当時、発展途上だった監督・クリエイター達はショートフィルムの可能性を探っていました。彼らの言葉から、ショートフィルムの魅力を発見する事が出来ます。

ショートフィルムっていちばん、自分の思いがストレートに出せると思うんです。長編映画へのアイデアを凝縮して試す事が出来た。”―飯田譲治

飯田監督は、8mmフィルムでの自主制作映画が1981年のぴあフィルムフェスティバルで入選。そこから映画監督としてのキャリアが始まっています。15分という短い時間の映画だからこそ、シンプルに表現出来るのかもしれませんね。

短編は学生の時に撮りました。イメージフォーラム(付属映像研究所)でね。”―望月六郎

望月監督は、実験映画の登竜門のような学校に通っていました。そこで映画監督よりシナリオライターとしての実力を身につけていきます。そこでは8~10分の映画を数本、製作したと語っています。

アメリカの映画館は、前座としてショートフィルムをキチンとやったりする。感動して本編の内容は忘れちゃったくらい。最後の一言で全てわかる。そういうことなんだなぁ、ショートフィルムは、と思った。”―堤幸彦

短歌や俳句と同様に語られる事の多いショートフィルム。詰め込み過ぎず、如何に観客を魅力するかが肝心です。製作の難しさが映画監督としての技量を高め、映画・映像で更に人々を感動させる事が出来るのでしょう。

参照文献、引用元:
Jam Films Project『ショートフィルム革命―Featuring「Jam Films」』ぴあ、2002

 

 

[7] ショートフィルムの今を知りたい!

技術が進歩し、様々な映像作品が作られ、様々な場所で楽しまれる現代。最近ではどんな作品が話題になっているのか、オススメの作品をご紹介します!

 

☆広告コンテンツとしてのショートフィルム

  • 『Come Together』 – directed by Wes Anderson starring Adrien Brody – H&M(2016,3分52秒)

ファストファッションブランドH&Mと映画監督ウェス・アンダーソンがコラボした事で話題に。ウェス・アンダーソン独特の撮影・編集方法はそのままに、低価格なファッションでも映画のようなクリスマスを過ごせる事を気づかせてくれます。

参考ウェブページ:https://www.youtube.com/watch?v=VDinoNRC49c

 

☆ショートショート フィルムフェスティバル & アジアの取り組み

  • 街が映画館に?!『SHIBUYA STREET CINEMA 2200 by ShortShorts』プロジェクト!

“SHIBUYA STREET CINEMA 2200 by ShortShorts (略称:シブストシネマ)” はSSFF & ASIAと、渋谷で9基の大型街頭ビジョンを展開する株式会社シブヤテレビジョンとのコラボレーションにより、毎日22時、渋谷・公園通り入口の大型街頭ビジョン「ソニービジョン渋谷」にて世界のショートフィルムを上映するプロジェクトです。

特設ページ:http://shortshorts.org/shibuyast2200/about.php
  • 映画祭に参加しよう!

『映画祭は関係者じゃないと入れない・・・』そんなイメージはありませんか?SSFF & ASIAでは映画祭期間中、都内数カ所の映画館にて無料でショートフィルムを上映。製作スタッフや出演者達の素直なコメントが聞けるトークショー等のイベントも開催しています。

私も実際に参加してみて、普段間近で見る事の出来ない有名な俳優・監督・クリエイター達を見て、”本物だぁ!”と感激。それだけでなく、彼らの本音や一個人としての表情を見る事が出来て、とてもいい経験になりました。自分でも映画について深く考えるキッカケになり、映画業界の人間として参加したような満足感でした。みなさんも是非、映画祭に参加してみてください!

映画祭について:http://www.shortshorts.org/filmfestival/ja/index.php

 

 

 

[8] 他にどんな映画祭があるの?

 

☆日本国内の主な短編映画祭

1980年代、8mmフィルムでの自主制作映画でデビューした映画監督は多くいたそうです。2000年代頃からは、映像技術が発達し撮影機材も小型になってきて、気軽に映像作品が作れるようになっている為、多種多様な映画祭が増えて来ているように思います。

  • 広島国際アニメーションフェスティバル(広島県、1985~)
  • すかがわ国際短編映画祭 (福島県、1989~)
  • ショートショート フィルムフェスティバル & アジア (東京都、1999~)
  • 仙台短編映画祭(宮城県、2001~)
  • 水戸短編映像祭 (茨城県、2001~)
  • 山形国際ムービーフェスティバル(山形県、2005~)
  • ひめじ国際短編映画祭 (兵庫県、2007~)
  • 緑区 Short フィルムフェスティバル (神奈川県、2010~)
  • 行啓通ショートフィルムコンテスト (北海道、2011~)
  • 知多半島映画祭 (愛知県、2011~)
  • O!!iDO 短編映画祭 (東京都、2011~)
  • シュニット京都国際短編映画祭 (京都府、2013~)
  • 大塚ショートフィルムフェスティバル (東京都、2014~)
  • 淡路島短編映画祭 (兵庫県、2014~)

 

☆SSFF & ASIAの地方上映企画として始まった映画祭

  • 那須ショートフィルムフェスティバル (栃木県、2006~)
  • 札幌国際短編映画祭 (北海道、2006~)

 

☆海外の主な短編映画祭

日本では実験要素の強いショートフィルム。欧米では短編映画専門の映画祭が多く、長い歴史と伝統を持っています。ショートフィルムは、エンターテインメントの一つとして成立しているオフィシャルな存在なのです。

  • オーバーハウゼン国際短編映画祭(ドイツ、1962~)
  • タンペレ映画祭(フィンランド、1969~)
  • クレルモンフェラン国際短編映画祭(フランス、1979~)
  • セントキルダ映画祭(オーストラリア、1999~)
  • アシアナ国際短編映画祭(韓国、2002~)
  • パームスプリングス国際短編映画祭(アメリカ、1989~)

 

 

[9] ショートフィルムの世界は深く、広い!!

意外と知られていないショートフィルムの世界。調べて見ると、実はとっても身近にある存在だということが分かりました。映画の誕生から発展してきたショートフィルムは、今の映画界を支えている著名な映画監督達が羽ばたく原点となっています。ショートフィルムを観ることは、映画監督達のはじめの一歩を目撃する事に繋がっているのですね。

映画ファンは勿論、普段から映画を見ない人もショートフィルムをこまめにチェックしよう!『あの監督、最初の頃はこんな映画作ってたんだよ~』なんてトリビア博士になれちゃうかも?

 

 

参考文献リスト
  • 佐藤忠男『世界映画史[上・下]』第三文明社、1996
  • 安藤佳道他・監査法人トーマツ『コンテンツビジネスマネジメント』日本経済新聞社、2003
  • 長島一由『フィルムコミッションガイド 映画・映像によるまちづくり』WAVE出版、2007
  • 矢 澤 利 弘『短編映画祭における人材育成の現状と課題』広島経済大学経済研究論集第37巻第 4 号 、2015(PDF・・・http://researchmap.jp/?action=cv_download_main&upload_id=94686)
  • Jam Films Project『ショートフィルム革命―Featuring「Jam Films」』ぴあ、2002

 

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この記事はSSFF & ASIAボランティアライターの協力で制作されました。

ライター:すらすら

「映画を観る時間がない…」「長い映画は苦手!」という方に、ショートフィルムはとってもおすすめです!短い時間でも、奥深いテーマと繊細な描写が詰め込まれているショートフィルム。まるでエスプレッソのような味わい深いショートフィルムの世界をご紹介します!

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