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2017/04/15
【コラム】アジアじゃ映画が撮れない?映画で食べていくための方法とは?
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2016年のアフターパーティーの様子

 

昨年開催されたSSFF&ASIA 2016 で、私は来日するスタッフの方々の、アテンドのお手伝いをしていました。その時、フランス、ドイツ、ブルガリア合作映画『チェーン』のプロデューサーを務めたSamuel Huang氏とお会いし、雑談を交わす機会があったのです。

ドイツ在住のHuang氏ですが、出身は香港だといいます。
「どうしてドイツに移ったのですか?」
素朴な疑問が浮かび、素直に聞いてみました。すると返ってきた答えは、
「アジアじゃ映画が撮れないから。予算を組むのが難しいのです」
「え? うそですよね?」
本気で私は、Huang氏が冗談をいっていると思ったのです。ジャッキー・チェンにウォン・カーウァイ、『インファナル・アフェア』、香港映画は珠玉の作品がたくさんあるのですから。
「いやいや、本当ですよ。アジアだと、まず予算が組めないから」
と、Huang氏は同じことを二度言いました。

「予算問題は、どこも同じようにカツカツだと思いますが……? アジアだと違うんですか?」
「そう、日本も含めて、特にアジアは厳しいですね。というのも、アジアやハリウッドでは、『映画はエンタテイメント』として扱われる。資本主義に則って、民間企業や個人がお金を出すでしょ。でも、ヨーロッパは、『映画はアート』という認識があるので、国が予算を出してくれるケースも多いんですよ。アートは文化だから、『文化遺産は国が守っていくもの』として考えられてるんですね」
これには、ものすごく納得してしまいました。確かに、欧州と、アジア・ハリウッドでは、映画に対する認識の違いはあります。

ひるがえって、日本での映画制作について考えてみると、やはり厳しいのが現状でしょう。
最終的に興行成績がものをいう成果主義が根底にあるため、経済的な問題が一番のネックになります。
さらに、世界マーケットを視野に入れて制作・発表しても、そこに至るまでのルートや、優秀なプロデューサー、パブリシストなどの映画関係者に会う手段が、なかなか見つかりにくいという弊害もあります。

そこで重要になってくるのは、映画祭です。たくさん映画を上映して映画ファンが盛り上がるような「祭」としての側面もありますが、映画制作で生計を立てる覚悟のある人にとって必要な、出会いのハブになる場所としての側面が映画祭にはあります。

前述のようなルートや、映画関係者が一堂に会するところで、つながりを作れるのが価値といえるでしょう。

そういった意味で、SSFF&ASIAは最適な出会いの場です。アジア最大級の米国アカデミー賞公認国際短編映画祭であるため、本映画祭でグランプリを獲得すれば、米国アカデミー賞への道が開けます。実際、2016年のグランプリ『Sing/合唱』は、2017年2月に発表されたアカデミー賞短編実写部門でオスカーを受賞しました。

ヨーロッパのような制作環境は一朝一夕には整いませんが、映画祭のようなチャンスがいろんなところにあれば、日本映画の制作環境も変わっていくかもしれません。

 

—–(この記事はSSFF & ASIA ボランティアライターの協力で制作されました)—–

尾針菜穂子(おはりなおこ)
将来は、ジェームズ・フランコにエスコートされながら、レッドカーペットを歩くのが夢。

関連サイト:「Road to Cannes」
なら国際映画祭とSSFF & ASIAの協働プロジェクト。若手制作者の後押しをする企画を実施しています。 2016年のカンヌ国際映画祭で審査員を務めた河瀨直美監督と、『淵に立つ』でカンヌ国際映画祭「ある視点」部門の審査員賞を受賞した深田晃司監督が参加者と車座になって語り合ったワークショップのレポートが公開されています。

SSFF & ASIA 2017 ボランティア募集中!
詳しくはコチラhttp://www.shortshorts.org/ja/volunteer/index.php


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