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SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2015

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【動画・書き起こし配信】冲方サミット×ブックショート#4:冲方作品の二次創作解禁・新人発掘プロジェクト「冲方塾」
2015-08-07

ショートショート フィルムフェスティバル & アジアが二次創作をテーマに短編小説をWEBで公募し、大賞作品をショートフィルム化、ラジオ番組化するプロジェクト「ブックショート」。SSFF & ASIA 2015内で人気作家 冲方丁氏を中心に、出版社やビデオメーカーのスタッフが集結した組織 「冲方サミット」とのコラボイベントを開催し、冲方作品の二次創作解禁・新人発掘プロジェクト「冲方塾」の詳細が発表されました。今回解禁されたのは、「マルドゥック・シリーズ」「天地明察」「もらい泣き」の3作品。1,000文字以上10,000文字以下の短編小説をブックショートWEBサイトにて募集中!第4回の今回は、映画祭代表の別所と冲方さんの対談です!冲方さんの審査員をしての、物語の描き方についてを、語っていただきます。ぜひ動画もご覧ください。

『冲方サミット×ブックショート Part4』


別所:このあいだ、冲方さんには今回映画祭の審査員をしていただいているので、「映画を見るうえで基準にしていることってなんですか」と聞いたら、物語に対するアプローチということで二通りの答えてくださって、あれがすごく印象的だったんでもういちどお話いただいていいですか?

冲方:人生の描き方には二通りあって、「誰の人生にもある物語」を描くのか、「特異な人生の物語」を描くのか、この二通りによって全然作品が変わるんですね。要は、「ああ、誰の人生にもこういうことあるよね」というシーンなり、ストーリーなり、台詞なりを切り取って、短くショートフィルムにしているものか、もしくは「ちょっと待って、こんな人本当にいるの?」というような、人間はここまでおかしなことができてしまう、常識から外れてしまうという、こういう人生の描き方ですね。ショートフィルムはこの両軸に振れるなあと。

別所:面白いじゃないですか。そういう見方で、僕は映画とか物語に触れた感覚がなかったので、冲方さんに言われてそうかと、あらためてこのショートショートフィルムフェスティバルの作品を、二つのどちらに属するのかなと考えながら見ていたりするんですよ。なので是非皆さんにも、まだ始まったばかりですので、この映画祭の中でも(それぞれの)ショートフィルムの物語性が冲方さん的な視点だとどちらに入るのかなあというのを見ていただきたいと思います。

冲方:とにかくショートフィルムは、僕も観ていてすごく参考になります。これ舞台を描いたら気づかれずにパクれる、とか。

司会1:あれ(笑)

司会2:言ってしまいました。

別所:ですからこれ、二次創作です。(笑)

冲方:それだけで作品は作れないんですけどね、もちろん。やっぱり

別所:もちろん。

冲方:やっぱり、凝縮されていて何度ももまれているというのと、それからこのショートフィルムフェスティバルのすごく面白いところってやっぱり”各国“じゃないですか。ちょっとまだ内容は言えないと思うんですけど、イスラム圏、たぶんイランで作られた方のアニメーションが「すごい、わかる」と。SFなんですけど、日本人でありながら「やばいこれわかるわ」と。BGMがすごいコーラみたいな曲であるにもかかわらず面白いなあと思ってしまって。

別所:これねえ、不思議なんですけど、国を超えても結婚観だとか友情とか、死に対する価値観とかに関して、自分と近いと感じることがありますよね。国籍を超えてね。

冲方:ありますね。やりたいことはすごくわかるけど・・・という(例えば)ベネズエラあたりの人にすごく同情してしまったりして。ああ、なるほどな、この人は勉強してないなとかいう。

別所:どういうことですか?

冲方:やっぱり映画が大好きで、自力で撮ろうとしているんだけど、もうちょっとスマートにやる方法があるのに、その人のところに情報がいっていないというか。

別所:それは、物語の運びかたとかそういうことですか?

冲方:運びかたですよね、シーンの撮り方とか、あるいは「あの作品が大好きなんだろうな」というのもあります。そういうのが見えるのも楽しいですね。逆に日本人である自分がどれだけ恵まれているかというのもわかりますね。

別所:まあ確かにさまざまな作品に触れたり、エンターテインメントに触れるという意味では、僕たちは日本にいるということで恵まれていたり、インターネットを通じても様々な情報に触れられるわけですけど、ある限定された世界観の中でなんというか“ガラパゴス的”に育ったもというのも、逆に物語として強かったりというのもね。

冲方:日本の独特なところって、“ガラパゴス的”な文化をもっているくせに輸入が大好きなんですよね。本来矛盾するんですよ。だって他の文化の中に入れるとごっちゃになるから嫌じゃないですか。にも関わらず、世界で一番海外からの作品を翻訳している国なんですよ。これはたぶん、日本語独特の発達の仕方というのもあるかもしれないんです。ちょっとややこしい話になってしまうかもしれないんですけど、日本語というのは実は6つの言語からできていて。

別所:え、知ってた?どういうことですか?

_MG_9638冲方:まず、ひらがな・カタカナ・漢字というのがありますね。これに、英数字・漢数字・アルファベットというのが入るわけですよ。基本的に漢数字・英数字というように数字を言語化して取り入れる言語というのは少なくて、実はこれができるとありとあらゆるものが翻訳できるようになるんです。ひらがな・カタカナ・漢字、しかもアルファベットまで導入して、一般化したわけです。さらに数字の書き方もアルファベットと漢字両方があるわけですから、非常に表記が簡単になるんですね。複雑怪奇になっていくわけですけど。

別所:そうか。僕たちは当たり前にとらえているけど、ふつうに読み物の中にその6つ、7つが混在してますよね。

冲方:6つですね、そうなんですよ。

別所:それでそのニュアンスというのは、たとえば「からだ」と書くのでも、カタカナで「カラダ」と書くのと(漢字で)「身体」と書くのと、少しニュアンスを変えて受けとっていますもんね。

冲方:そうなんです。ものすごく微妙なニュアンスを表現できてしまう。表現できながら、特定の意味に根ざさせてしまう。他に勘違いさせないための書き方がたくさんできる。だから主語が無くてもだれがしゃべっているかわかるのは日本語くらいですよ。

別所:確かにねえ。これをブックショートの中のヒントにしていただいたりして、(僕は)冲方さんの世界が、冲方ワールドがショートフィルムとして映像化したらどうなるだろうと想像しつつ先程の話題の小説部門にどんな作品が集まるか来年にむけて楽しみにしたいなあと、早くもこの映画祭では思っているわけです。

司会2:ありがとうございます。すごくいい話を聞かせていただいたところなんですが、お時間が来てしまいまして。

別所:ええ?

司会2:もっとためになる話をたくさん聞きたいとは思いますが。また次回こういう場があればぜひ。

司会1:よろしくお願いいたします。

司会2:では、今日来ていただいているお客様と、配信を観ている方に、お一人ずつメッセージをお願いいたします。まずは別所さんから。

別所:僕からですか。本当に皆さん、今日はお越しいただいてありがとうございます。冲方さんの作品(好きの方)、冲方ラバーズの方がたくさん集まっていると思うのですが、今日まさにこの冲方塾、冲方サミットから生まれていくプロジェクトとして、ブックショート(があります)。私たちの(注目する)この二次創作の、短編小説からショートフィルムを作るというこの部門から、冲方さんとともに走り出す。そんな世界をこの「冲方哲也」はがんばって伝えていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

司会1:ありがとうございました。

司会2:ありがとうございました。冲方さん、お願いいたします。

冲方:「別所丁」として・・・かなり言いにくいですけど。(笑)

司会2:どっちの姓になろうか二人で相談してください。

司会1:一緒に歩めているのかというね。

冲方:本当に、別所さんとショートフィルムフェスティバルにはたくさんのインスピレーションを与えていただいております。そしてそのインスピレーションをもとに、冲方塾の構想を作った点もございまして、今日この場をお借りして皆さまに発表できたことを大変嬉しく思います。それとともに、やはりインスピレーションはあなた自身のものだと。そのインスピレーションに関しては、偽る必要もないし、隠す必要、ごまかす必要もないと。それがたまたま、世に出しかたちにする上で、人のアイディアを借りるのが、まず蛹になるために簡便であればそれはすべきだと思います。ただしあくまでも、それで目に見えているものは「柄」であって、その奥にあるインスピレーションはその人固有のものであって、それを決して人に偽ったり隠したり、人と対立させたりする必要はないんです。それをぜひ育ててほしいですし、ものづくりをしない人たちもやはり皆さんそれぞれにインスピレーションを持っている。持っているからこそ作品を見たときに感動することができる。その感動の軸を、これから複雑化する社会に対して守り続けてほしい。それを大きく、広く、鮮やかに、そして楽しく育てていく場として冲方塾をやっていきたいですし、もう既にそのような場を大きく築かれている別所さんに、ショートフィルム映画祭に、今後ともご指導いただければと思っております。

別所:こちらこそ、ありがとうございます。

司会1:ありがとうございました。別所哲也さん、冲方丁さん、ありがとうございました。盛大な拍手をお願いいたします。

司会2:ありがとうございまいした。お幸せに!めちゃめちゃいい話聞けましたね。客席にまわりたいくらいの話で。

司会1:わたし客席でした、ほとんど。

司会2:ほんまやん、背中しか見てなかったですから。そしてなんとですね、8月には次の冲方サミットが開催しているらしいですよ。

司会1:している?

司会2:しているというか、するんですね。今後の冲方サミット、また新企画・冲方塾に、皆さんご期待ください!

本日司会を務めさせていただきました、はりけ~んず前田でした。そして・・・

司会1:かなでももこでした!本日はどうもありがとうございました。


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