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ジェンダーを題材とした映像作品が増える中、今回の特集では、ジェンダーを真正面から描く作品だけでなく、日常の中に潜む意識や価値観を映し出す作品、そして「他者」だけでなく「自分自身」の中にある偏見や揺らぎを見つめ直すような作品をセレクトしました。

ダイバーシティの概念が社会に広がる一方で、恋愛や友情の境界が曖昧になる現代の“クィア”や“バイセクシュアル”のリア リティを描いた『クレイ・クリークの終わらない夏』（アメリカ）。ゲイであることがいまだタブーとされる インドネシアで、俳優としての立場と良心の間で揺れる主人公を描いた『僕の言いたいこと』。日本社会におけるトランスジェンダーへの視線を、実際の当事者たちが演じることでリアルに表現した『片袖の魚』。ルームメイトとの出来事を通して生まれる繊細な心の変化を描いた『ジュリアンと風』（カナダ）。そして、親子がジェンダーをめぐって対峙する様をユーモラスに描いた『ハッピーバースゲイ』。5本のショートフィルムを通じて、多様な視点と感情の揺らぎを体感しながら、“ジェンダーとは何か”“自分らしさとは何か”を改めて考えるきっかけを届けます。

BSSTO 11月 ジェンダーレス・ショート特集ラインナップ

ちょっと気になるドラマの始まり

『クレイリーレイクの終わらない夏』 （Crarylake Boats and Floats） 　　　　　　11月5日配信開始
監督：Spencer Thielmann & Emily Berge/ アメリカ /2022/9:40

夏が終わり、観光シーズンもひと段落。湖畔の「ホットドッグスタンド兼 ボートレンタル店」で働くレーンは、雨を避けながらハイになって、何も起こらない一日をやり過ごそうとしていた。しかし、ちょっと気になるボートの借り手・カーラの登場で、レーンの退屈な一日は思いがけない方向へと転がり始める――。

偽りの勇気、本当の勇気

『僕の言いたいこと』（In the Words of Firman） 　　　　　　　　　　　　　　　11月12日配信開始
監督：Kurnia Alexander /インドネシア /ドラマ /2024/ 18:20

ゲイであることを隠しているインドネシア人俳優フィルマンは、映画のインタビュー中、“ストレト”のイメージを崩すまいと必死だ。しかし、トランスジェンダーの友人ケニーが、共演者ジョニによるハラスメントを訴え た件について聞かれると、彼の心は葛藤する。キャリアのために沈黙を貫くべきか、それとも、自分の秘密がバレてしまうリスクを冒してでもクィアの仲間を守るべきか。彼は決断を迫られる。

原案:文月悠光 イシヅカユウ主演 わたしがわたしを生きる物語

『片袖の魚』（The Fish with One Sleeve） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　11月13日配信開始
監督：東海林毅 /日本/ドラマ/2021/ 34:00

トランスジェンダー女性の新谷ひかり(イシヅカユウ)は、ときに周囲の人々とのあいだに言いようのな い壁を感じながらも、友人で同じくトランス女性の千秋(広畑りか)をはじめ上司である中山(原日出子)や同僚の辻(猪狩ともか)ら理解者に恵まれ、会社員として働きながら東京で一人暮らしをしている。ある日、出張で故郷の街へと出向くことが決まる。ふとよぎる過去の記憶。ひかりは、高校時代に同級生だった久田敬(黒住尚生)に、いまの自分の姿を見てほしいと考え、 勇気をふり絞って連絡をするのだが――

BSSTO 11月 ジェンダーレス・ショート特集ラインナップ

夢の狭間、名前のない感情

『ジュリアンと風』（Julian and the Wind） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　11月19日配信開始
監督：Connor Jessup/カナダ/ドラマ/2025/15:00

寄宿学校の寮で同室となった二人の少年。 ある夜、ジュリアンは眠ったまま庭へと歩き出す。風に導かれるような その不思議な出来事をきっかけに、二人は言葉にできない時間を 共有していく。

もう一つの秘密。家族はまだ、真実の途中。

『ハッピーバースゲイ』（Happy Birthgay） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　11月26日配信開始
監督：Niv Manzur/イスラエル/コメディ/2022/16:09

ローニットは息子のナダブがゲイであることをカミングアウトしてから1年が経ったことを祝うため、仰々しいサプライズ･パーティーを開く。しかし、ナダブは母と同じ様に祝うことができずにいる。「Happy BirthGay」は、息子ではなく母親が抱く秘密を描いた悲喜劇である。