News & Reports
ニュース & レポート
10/25 「オトナの不調」インドネシアから来日のPutri Sarah監督
Q&Aレポート
2025.10.29
10月25日、赤坂インターシティで行われた上映会にQ&A登壇した、『オトナの不調』のPutri Sarah監督がQ&Aに登壇しました。
その模様をレポートでお伝えします。
孤独とユーモアが交差する、“母と猫”の小さな物語
Q&Aに登壇したショートフィルム『オトナの不調』を手がけたPutri Sarah監督。
作品を見終えた観客に温かく挨拶を交わした彼女は、開口一番「この物語は、母が寂しいときにいつも猫に話しかけていたことから始まった」と語りました。

本作は、母娘の関係を通して“更年期”というデリケートなテーマを描いたパーソナルな物語。
「月経や更年期の話題は、私の国ではまだタブー視されている。女性たちはそれを隠すしかない。でも、私自身や母の経験をきっかけに、それを正面から描きたかった」と監督は明かします。
脚本は親友ディヴィナとの共作で、母親との実生活をベースに執筆。感情的だった初稿から、時間を経て客観的に見つめ直すことで「母を理解するための物語」へと昇華されたといいます。
撮影はわずか2日間。主演のマリアム・スプラバについては「完璧でした。まるで私の母のよう」と称賛しました。
一方で、猫“チコ”のキャスティングには2か月を費やすなど、撮影現場にはユーモアあふれるエピソードも。
「最終的にオス猫のチコをメス役として起用し、ドレスを着せて撮影しました。チコには本当に賞をあげたい」と笑いを誘いました。

編集では、監督と編集者が密にディスカッションを重ね、物語のテンポと感情の呼吸を丁寧に整えました。
「編集は物語を再発見するプロセス。感情の流れを見つける作業でした」と振り返ります。
最後に、今後のプロジェクトについて問われると、監督は「次はAIと人間の関係をテーマにしたサイバークライムの短編を準備中」と明かしました。
母と娘の絆を描いた本作から一転、テクノロジーと倫理をめぐる新たな挑戦に期待が高まります。
個人的な体験をユーモラスかつ繊細に映像化した『オトナの不調』。
監督の語り口からは、人生の痛みと優しさを見つめるまなざし、そして創作への深い誠実さが伝わってきました。
『オトナの不調』は11月10日まで、秋の国際短編映画祭オンライングランドシアターで公開中!




