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第20回札幌国際短編映画祭、世界の名作と共に華やかに開幕
2025.10.11

本日より3日間(10月11日〜13日)、札幌国際短編映画祭(SAPPORO Short Fest 2025) がスタートしました。
国内外から選ばれたショートフィルムを一堂に上映するこの映画祭、記念すべきオープニングプログラムとして、午前11時より「サツゲキ」で 「SSFF & ASIA SPECIAL SELECTION」 が披露されました。
このプログラムは、もともと2000年から北海道で開催されていた「アメリカン・ショートショート・フィルムフェスティバル(現:SSFF & ASIA)」と、2006年以降「札幌国際短編映画祭」として発展を続けてきた歴史を讃えるものです。今年は20周年を迎えるにあたり、両映画祭で過去に受賞した作品や人気作を厳選して上映。海外から監督・関係者も来札しました。開幕前には、札幌国際短編映画祭の創立者、久保俊哉 氏が登壇し、世界各地から集まった6名の監督を一人ずつ紹介。
続いて、東京から駆け付けた ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA) のエグゼクティブ・ディレクター、東野正剛 が登壇し、日本博2.0の取り組みによってこのコラボレーションが実現したことへの感謝を述べ、監督たちの宿泊にサポートを頂いている 札幌東急REIホテル にも謝意を示しました。
上映された7作品、それぞれの監督の挨拶コメントを紹介します。まず、シンガポールの ロイストン・タン(Royston Tan) 監督による『D.I.Y.』は、人々が無意識に発する“音色”を通してつながり合い、ひとつの“ヒューマン・ミュージック”を奏でるというビジョンを描いた実験的作品です。上映前、ロイストン・タン監督は「自分の初期作品を20年ぶりに観るのは、まるでタイムマシンに乗っているような気分です」と語り、会場から温かい拍手が送られました。
ブラジルの ファウストン・ダ・シルバ(Fauston da Silva) 監督の 『My Friend Nietzsche(マイ・フレンド・ニーチェ)』 は、勉強が苦手な少年ルーカスが、偶然手にしたニーチェの本によって自己変容を模索する物語です。上映前、監督は「教育の大事さについて描きたかった作品です」とコメントしました。
チェコ出身 バラ・アンナ(Bára Anna) によるアニメーション作品 『9 MILLION COLORS(900万の色:目に見えない世界)』 では、海を舞台に、爪をもつエビ「フラン」と目の見えない魚「ミルバ」が互いの世界を理解しようとする幻想的な物語が展開します。バラ・アンナ監督は本日の上映には参加できませんでしたが、10月13日(月)午後3時の再上映時には舞台挨拶が予定されています。
韓国の ムン・ビョンゴン(Byoung‑Gon Moon) 監督が手掛けた 『Safe(セーフ)』 は、違法ギャンブルの両替所で働く大学生の女性を主人公に、狭い空間での抑圧から逃れようとする運命を描く作品です。上映前、ムン監督は「私もこの作品を12年前に制作して以来、ほとんど見たことがありません。少し恥ずかしい気持ちです。当時はネガティブ思考でしたが、今はポジティブ思考の人間に成長しました」とコメントし、会場から笑いと拍手が起こりました。
オーストラリアの ジェシカ・バークレイ・ロートン(Jessica Barclay Lawton) 監督作 『We Keep On Dancing(キープ・オン・ダンシング)』 は、夫婦が所有していたフォルクスワーゲン・ビートルが突然煙を吐き出し、その出来事をきっかけに二人の人生が変わっていく物語。上映前、プロデューサーの ルイス・ミッチェル 氏は片言ながらも日本語で観客に挨拶し、大きな拍手を受けました。
スイス出身の トカイ(Tokay) 監督による 『DOUBLE OR NOTHING(ダブル・オア・ナッシング)』 は、1980年代の日本、バブル期を背景に、不動産王・柏木昭男と彼を取り巻く幻想的な世界を描くストップモーションアニメーション。監督は「大学卒業制作として制作しました。当時の日本の雰囲気を伝えたかった」と語りました。
最後に、カナダの マーティン・アミオット(Martin Amiot) 監督作 『BLITZMUSIK(戦場の音)』 は、戦場で出会った2人の中尉が廃墟となった音楽学校で対峙し、銃とガス弾の攻撃が次第に“デュエット”へ変化していく幻想的で緊張感あふれるドラマです。上映前、監督は「昨年、札幌国際映画祭でグランプリ賞を頂きました。テーマは“平和”です。皆さんにぜひ観ていただきたい」とコメントしました。
本日の上映に参加できなかった バラ・アンナ監督 も、10月13日(月)午後3時の再上映時には登壇予定です。6名の監督に加え、バラ・アンナ監督のコメントや舞台挨拶も聞ける貴重な機会となりますので、見逃せません。
多彩な国籍と表現手法、テーマ性を持つショートフィルムたちが織りなすこのプログラムは、短編映画の力と可能性を改めて感じさせてくれます。作品情報・上映スケジュールはこちら
https://sapporoshortfest.jp/25/



