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【セミナーレポート】6/3

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2025.06.06

2025年6月3日(火)、赤坂インターシティコンファレンスセンター(the AIR)にて、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA)2025のBranded部門イベントが終日行われました。当日は国内外から多彩なクリエイターや企業関係者、広告業界、観光関係者などが集い、3つのセッションで映像表現の現在地と新たな可能性が熱く語られました。

サステナブルな地域づくりに向けた映像活用テクニック

最初のセッションには、観光学の大先生・加藤久美教授(和歌山大学)と、SSFF & ASIA代表の別所哲也さんが登壇。「観光とは“光を見る”こと。その光を誰がどう見るかを考えることが、観光や地域ブランディングの出発点」と別所さんが語り、加藤教授は「持続可能な観光ガイドライン」や「グラスゴー宣言」など国際的潮流を解説しました。観光と地域活性化のつながり、そして映像表現による地域独自の知恵や価値観の伝え方が話題となりました。

このセッションでは、3つの映像事例の制作者が登壇し、作品と制作背景を語りました。

  • 『ハコフグとみなまたの海』(熊本県水俣市)
     熊本県職員・アニメ制作会社ROBOTらがオンライン登壇。さかなクンがPR大使に就任、地域フェス成功を機にアニメ制作が始動。「よかこつもわるかこつも、ちゃんと知ることばい」というメッセージを込め、その制作過程の中でも、地域との活性的な関係が重視されている。子どもたちが合唱やキャラづくりに参加したり、海の中のキラキラ感が映像にめちゃくちゃ出てて、ポジティブな地域イメージを伝えました。動物の動きの可愛さにもこだわっていて、地域の“光”を感じる作品となっています。
  • 『NOVA』(群馬県大泉町)
     多国籍の住民が共生する町・大泉町を舞台に、日系ブラジル人の女性と父親の再会を描いた作品。製造業と移民の歴史、外国人のリアルな日常や多様性が「日本にあるダイバーシティ」として映像化されています。大泉町は、4.2万人の人口の中、約9000人(22%)が外国人となってる。日系ブラジル人など、多国籍の人たちが暮らしていて、リトルブラジルとも呼ばれ、近年は東南アジアの人も増えて、日本有数の多文化共生地域です。今回の作品は地域のリアルと家族の大切な愛をしっかり描いた、とてもインパクトのある作品。制作は、映画としてもエンタメの魅力として始まり、まちの魅力を表現することになってる。 地域の様々な人と団体の協力も得ながら作られ、まさに“持続可能な多文化社会”を伝えている映像です。
  • 『Falling for Autumn』(スイス政府観光局)
     スイスの美しい秋を舞台に、ロジャー・フェデラー&マッツ・ミケルセンが出演。夏は観光客が多いけど、秋の魅力も伝えたいとして、スイスの秋を推す映像。スイスの旅行は、実はサステナビリティを意識して作られている。公共交通利用を促し、スイスの多様な言語文化や食、色鮮やかな秋の魅力が短編映像として紹介されました。

BRANDED SHORTS × FUTURE ~縦型ショートフィルムにおけるブランディングメソッド~

次のセッションには、サイバーエージェントの安藤達也さん、ワンメディアCOOの余頃沙貴さんが登壇。
近年主流となったTikTokやInstagram Reels、YouTube Shortsなど縦型動画プラットフォームを前提とした映像づくりについて、現場のリアルな課題や新たな価値観が語られました。

以前の広告と違い、「いまは“どこに流すか”が先に決まって、そこからコンセプト設計を始める」と余頃さん。依頼内容も「TikTokでバズりたい」といったものが多く、視聴者を“界隈”と捉えユーザーの作法を守ることが重要といいます。

  • ストーリー設計の実例
     難病「NMOSD」の啓発プロジェクトでは、実写とアニメを織り交ぜた10本の縦型ショートドラマを制作。横型より多くのバリエーションを作り、多様なストーリーでターゲットを全面的に発信することができる。「バラバラな形で多くの人にリーチしつつ、共通のテーマ・メッセージでまとめる」スタイルが広告にも活きていると語られました。
  • 縦型の“ダサさ”問題とその価値
     「縦型はブランド価値を下げる?」という声もある中、「むしろSNSで“見たことがある”ことに価値がある」という考えがある。
     事例としてDUOLINGOやDAIKINなど、ユーモアやオープンさで差別化する広告が挙げられました。「縦型は賞味期限が短いぶん、複数本×チームで攻める」「今後はAIも活用し、大量制作・データ活用が主流に」との展望も印象的でした。

BRANDED SHORTS 過去受賞作品上映+深掘りトーク

最後に、過去のBranded Shorts受賞作を上映し、監督やプロデューサー・出演者らによるトークセッションが行われました。

  • 『ハロー!ブランニューワールド』主演・クリエイターのあさぎーにょさんが登壇。「SNS投稿のように見えるが、実は映画として成立するループ構造にこだわった」「どの瞬間から“vlog”が映画に切り替わるか、テンポや色の変化で意識させる設計を初めて行った」と語りました。尺への不安もあったが、Weiboなど中国SNSでも流行り、ショートフィルムの“気軽に観たものが感情を揺さぶる”という魅力を実感したとのことです。
  • 『服の旅先』
     山中有監督と山脇愛理プロデューサーが登壇。難民支援をテーマに、15案からこの作品が選ばれた理由や、「リアルな生活とエンタメ性のバランス」「悲壮感ではなく明るい難民の姿で共感を生み、認識変容だけでなく行動変容を促すことに成功した」と話しました。助けた後の“服選びの自由”という細やかな視点、今だからこそ伝えるべき難民のリアルにこだわった制作意図が共有されました。
  • 『ストレートパス』
    山中監督、山脇プロデューサー、東レの鈴木太樹さんが登壇。社内でライフストーリーを募集し、選ばれた社員の物語を丁寧に描写。信頼関係を築いてオープンに話してもらうために時間をかけ、海外制作では翻訳にも配慮したそうです。「ザ・CMではなく、ブランドの力で心を動かすストーリーを届けたい」と、その狙いと手応えが語られました。

6月4日も盛況!

翌6月4日には「クリエイターミートアッププロジェクト」と「BRANDED SHORTS 2025 セレモニー」が開催されました。ミートアップではクリエイターと企業・団体の新しい出会いの場となり、交流やマッチングのチャンスが生まれました。
午後のセレモニーでは「Branded Shorts of the Year」や「観光映像大賞 観光庁長官賞」など8つの賞が発表され、審査員によるトークも交えつつ、国内外の多彩な映像クリエイターとブランドの挑戦が讃えられました。

今回のイベントを通じ、地域・ブランド・社会が交差する場で映像がもつ無限の可能性を再確認できた二日間となりました。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

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