TOKYO FRAGMENTS
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私は東京で生まれ育ちました。私にとって東京は、特別な場所というよりも、日常そのものです。大きな都市でありながら、新宿や渋谷のような中心部を離れると、畑や緑、古い神社など、さまざまな風景が今も身近に残っています。本作品では、普段散歩をする場所や、かつて暮らしていた地域など、私自身にとって所縁のある場所を中心に、東京の断片を集めました。
風景はiPhoneで撮影した写真をもとに、ChatGPTによる画像解析と、その分析から生成したプロンプトを用いて、画像と映像へと展開しています。私にとってこの制作方法は、単に現実の風景を再現するためのものではなく、見慣れた場所を別の視点から捉え直すためのプロセスでもあります。
散歩の途中で、木になっている果実や路肩に咲く花を見つけると、ふと嬉しい気持ちになることがあります。そうした、日常の中で偶然何かを見つけた時の小さな高揚感や、心が躍る瞬間を、透明なガラスの生き物や植物などのモチーフとして取り入れました。現実の風景の中にわずかな変化を加えることで、普段見過ごしているものに、もう一度目を向けるきっかけをつくりたいと考えています。
また、本作では、AIのハルシネーションによって生じる不自然な文字や表現に加え、最新のモデルだけでなく、古いモデルで生成した映像も積極的に作品の一部として取り入れています。私は2022年からAIをコラボレーターとして作品制作を続けてきました。近年、AIによって生成される画像や映像は格段に滑らかでリアルになっていますが、私はむしろ、AIの間違いや不自然さが生み出す表現に、人間が生きる、一定ではない時間の流れのようなものを感じます。そこには、完全に制御された表現とは異なる、AIならではの偶然性や面白さがあると考えています。
本作では、現実の東京と、AIによって生まれたわずかな幻想が静かに交錯しています。壮大な物語や、誰もが知る東京を描くのではなく、私が暮らし、歩き、見つけてきた小さな東京の断片を通して、鑑賞者がそれぞれの身近な風景や、日常の中に潜む小さな発見を思い出してくれたら嬉しく思います。
- 監督
- SAEKO EHARA
- 国
- 日本
- 年
- 2026
Director
監督

SAEKO EHARA
江原彩子は、東京を拠点に活動するデジタルアーティスト。幼少期から心を惹かれてきた「キラキラ」と花を起点に、AI、ジェネラティブアート、3Dスキャンなどを用いて、記憶や感情、世界との新たな関わり方を探求している。彼女にとって「キラキラ」とは、物質的な光ではなく、日常の中でふと心が揺さぶられ、世界がいつもとは少し違って見える瞬間である。花もまた、記憶や感情、現実と空想のあわいにある感覚を象徴する。デジタル技術によって現実や記憶を再構成することで、失われるものと新たに生まれるものを可視化し、鑑賞者の日常にも新たな「キラキラ」や世界との出会い直しを生み出すことを試みている。主な活動に、ASTROPOETICON project (2026)、レジデンスプログラム「Collectible Scape」(スイス・2025)、大阪・関西万博「A Taste of Good For Tomorrow」(スイスパビリオン・2025)、Artificial Dreams II (フランス・2025)、Vivid Sydney(オーストラリア・2024)、ACTIONS in AMBIENT KYOTO (日本・2023)、Bright Moments Tokyo(日本・2023)など。これまでに世界 23 カ国で展示。
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