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【レポート】「とにかく諦めちゃダメ」河瀨直美監督、フランスの名プロデューサーを迎えて語る映画製作論。6/5, Andaz

2018/06/06

上映初日を迎えた虎ノ門ヒルズ・アンダーズ東京会場では、「Be Myself プログラム」プログラムと「Branded Shorts プログラム 1」を上映。また、河瀨直美監督がモデレーターを務めるセミナーイベントを開催しました。

「シネヴィジョン」と題されたセミナーは、今年20周年を迎えるSSFF & ASIA と10周年を迎える「なら国際映画祭」の共同プロジェクト。若い映画製作者に向けて、世界で活躍するチャンスをどう手にするのか、マエストロたちが伝えていく連続企画です。

今回はセミナーの前に、河瀨監督と別所哲也が両映画祭について紹介。
別所
「僕の原点はサンダンス映画祭。著名な監督が道端で町の普通のおばさんから作品の批評を受けていたりする。有名無名関係なく映画を愛する人が一堂に会して語り合うお祭りが作りたいと思ってSSFF & ASIAをはじめました」
河瀨監督
「映画館のない奈良市で映画祭をやる意味は、市民にも映画で出会い何かが始まるきっかけを産みたいから。奈良を舞台に映画制作もしているのですが、映像は客観なんですね。主観ではつまらない日常でも映像にすると実は宝箱だって気がつく。奈良の人たちも映画を通して自分の街を再発見できると思っています」
映画祭が特別な製作者やセレブリティのためのものではなく、広く開かれたものだという点が共通しているようです。
シネヴィジョンについて、別所は「ヴィジョンという言葉の向こう側、シネマとは何かを、ぜひ集まった皆さんと議論したい」と語りました。

つづいて、今回のゲスト、マリアンヌ・スロットさんが登場。デンマーク出身のマリアンヌさんは映画業界での仕事をするために18歳で単身渡仏。パリで国際的な配給会社に勤めた後、20代半ばで独立しプロデュース会社を立ち上げました。その後、プロデューサーとしてラース・フォン・トリアー監督作品など数々の作品を世に送り出し、フランス国立映画・映像センターが海外映画を対象に助成する事業「シネマ・デュ・モンド」で責任者を勤めた経歴を持ちます。河瀨監督とは6/8公開の新作『Vision』でタッグを組み、日仏共同制作を行いました。

話の内容は、日本と世界の映像の文法の違いについて。
河瀨監督は自身が20代の頃に撮影した長編映画について次のようなエピソードを紹介しました。
「カンヌでカメラ・ドール(新人監督賞)をとった『萌の朱雀』の制作では、当初ジョインしていた日本人スタッフに代わってフランス人の編集者とサウンドデザイナーがつきました。フランス政府の助成金を取得していた関係でフランス人プロデューサーからアドバイスを受けていたのだけど、そのプロデューサーの判断で。日本のスタッフからは批判もされたけど、フランスのスタッフが作った映像を見て、私は間違いなく「こっちだ」って決断したんです」
と自身のエピソードを紹介。フランスの映像作りは「エピソード単体ではなく、作品の流れを大切にする。すると感情が伝わる映画になる」と語りました。

世界で受け入れられる映画について質問されたマリアンヌさんは
「私は様々な国の監督と仕事をしてきましたが、彼らに共通しているのは旅をしていること。母国の文化だけでない、多様な文化を知りインターナショナルに通じる感覚を持っている」と語り、「まずは短編をつくる、そしてSSFF & ASIAやなら国際映画祭を含め世界中の映画祭に出品することが重要です」と若い監督たちにアドバイスをしました。

シネヴィジョンの第2回は9/22(土)に「なら国際映画祭」内の企画として、春日大社にて開催されます。ゲストはルーマニアのクリスチャン・ムンジウ監督。今回、参加できなかったクリエイターの皆さんもぜひ次回、河瀨監督と世界から招いたゲストのセミナーにご参加ください♪

アンダーズ東京会場では6/8(金)まで、「BRANDED」プログラムや、アンダーズ東京会場限定の「MYSELF」「YOURSELF」プログラムなどを上映します。夕方から夜の上映ですので、お仕事帰りにぜひお立ち寄りください♪

(ショートショート実行委員会・大竹)

スケジュールはこちら
http://www.shortshorts.org/2018/ja/schedule/